医療費控除と高額療養費の違いをやさしく解説|併用できる?計算方法も紹介

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医療費が高くなったときに耳にする「医療費控除」と「高額療養費」。
どちらも医療費の負担を軽くする制度ですが、「何が違うの?」「両方使えるの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

実は、この2つの制度は仕組みも申請先もまったく違います。そして、正しく理解すれば併用することも可能です。

この記事では、医療費控除と高額療養費の違いを、中学生でもわかるようにやさしく解説します。

医療費控除と高額療養費はどちらも医療費の負担を軽くする制度ですが、
仕組みや申請方法は大きく異なります。
まず高額療養費制度の基本を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
👉高額療養費制度とは?仕組みと申請方法を解説

医療費控除と高額療養費の基本の違い

医療費に関する制度にはいくつか種類がありますが、特によく混同されるのが「医療費控除」と「高額療養費」です。どちらも医療費の負担を軽くする制度ですが、仕組みや申請方法、対象となる費用などは大きく異なります。まずは、それぞれの制度の基本的な違いを理解していきましょう。

医療費控除とはどんな制度?

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税や住民税の負担を軽くすることができる制度です。確定申告を行うことで、払いすぎた税金の一部が戻ってきます。

対象となるのは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費です。自分自身だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合算できます。そのため、家族で医療費が多くかかった年には大きな節税効果が期待できます。

医療費控除は直接お金がもらえる制度ではなく、税金が安くなる仕組みです。医療費の負担を税金面でサポートする制度と考えると理解しやすいでしょう。

高額療養費とはどんな制度?

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。健康保険に加入している人が対象となります。

たとえば、入院や手術などで医療費が高額になった場合でも、自己負担額には上限が設けられています。もしその上限を超えて支払った場合、後から差額が返ってくる仕組みです。

つまり、高額療養費制度は「医療費そのものの負担を減らす制度」であり、医療費控除とは目的や仕組みが異なります。

制度を担当している機関の違い

医療費控除と高額療養費は、担当している機関も異なります。

医療費控除は税金の制度なので、手続きを行うのは税務署です。確定申告を行うことで、所得税の計算に反映されます。

一方、高額療養費制度は健康保険制度の一部です。そのため、申請先は加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険など)になります。

このように、制度の窓口が違う点も大きな特徴です。

どんな人が対象になるのか

医療費控除の対象になるのは、日本で所得税を納めている人です。給与所得者や個人事業主など、確定申告を行える人であれば利用できます。

また、医療費控除は家族の医療費も合算できるため、世帯全体で医療費が多い場合にメリットが大きくなります。

一方、高額療養費制度は健康保険に加入している人が対象です。会社員、自営業者、年金生活者など、基本的に日本の公的医療保険に加入している人は利用できます。

つまり、多くの人が対象になりますが、制度の条件はそれぞれ異なります。

利用するタイミングの違い

医療費控除と高額療養費は、利用するタイミングも異なります。

医療費控除は1年分の医療費をまとめて確定申告するため、翌年に手続きすることになります。例えば、2025年の医療費は2026年の確定申告で申請します。

一方、高額療養費制度は1か月単位で計算されます。医療費が高額になった月ごとに申請できる仕組みです。

このように、制度の計算期間も大きく異なります。

医療費控除の仕組みと対象になる費用

医療費控除を正しく理解するためには、どのように計算されるのか、どの費用が対象になるのかを知ることが大切です。意外と知られていない対象費用も多いため、ここで基本をしっかり確認しておきましょう。

医療費控除の申請では、医療費の明細書を作成して確定申告を行います。
明細書の具体的な記入方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉医療費控除の明細書の書き方【2026年版】

医療費控除の計算方法

医療費控除は次の計算式で求めます。

医療費控除額 = 支払った医療費 − 保険金などで補填された金額 − 10万円

※所得が200万円未満の場合は「所得の5%」になります。

例えば、年間の医療費が30万円で、保険金などの補填がない場合は次のようになります。

30万円 − 10万円 = 20万円

この20万円が所得から差し引かれる仕組みです。つまり、20万円そのまま戻るわけではなく、所得税率に応じて税金が軽減されます。

医療費控除の対象になる医療費

医療費控除の対象になるのは、治療を目的とした医療費です。

主な例は次のとおりです。

対象になる費用 具体例
診療費 病院の診察料、入院費
医薬品 処方薬、治療目的の市販薬
交通費 通院のための公共交通機関
治療費 歯科治療、手術費

特に見落とされやすいのが通院の交通費です。電車やバスの費用は医療費控除の対象になります。

対象にならない医療費

すべての医療費が対象になるわけではありません。治療ではなく、美容や予防を目的とした費用は対象外です。

例えば次のようなものです。

・美容整形
・健康診断(異常なしの場合)
・サプリメント
・予防接種

ただし、健康診断で病気が見つかり、そのまま治療を行った場合などは対象になるケースもあります。

家族の医療費もまとめて申請できる

医療費控除は、同じ家計で生活している家族の医療費も合算できます。

対象になる例
・配偶者
・子ども
・親

例えば、夫婦や親子で医療費が分かれている場合でも、まとめて申告できます。そのため、家族全体の医療費を管理しておくことが大切です。

医療費控除の申請方法

医療費控除は確定申告で申請します。

主な流れは次のとおりです。

1 医療費を集計
2 医療費控除の明細書を作成
3 確定申告書を提出

現在は、医療費の領収書の提出は不要ですが、5年間の保管が必要です。

高額療養費制度の仕組み

高額療養費制度は、医療費が高額になった場合に家計の負担を軽くするための仕組みです。入院や手術などで医療費が高くなったときに、とても役立つ制度です。制度のポイントをわかりやすく見ていきましょう。

高額療養費制度では、収入区分によって自己負担額の上限が決まります。
具体的な計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉高額療養費の自己負担額の計算方法

高額療養費制度の目的

高額療養費制度の目的は、医療費が高くなりすぎて生活が困難になるのを防ぐことです。

日本の医療制度では、通常は医療費の3割を自己負担します。しかし、重い病気や手術などの場合、自己負担でもかなりの金額になることがあります。

そこで、1か月の自己負担額に上限を設けることで、患者の負担を抑える仕組みになっています。

自己負担限度額とは

自己負担限度額とは、1か月に支払う医療費の上限です。

例えば、医療費が100万円かかった場合でも、限度額が8万円程度であれば、それ以上の分は後から払い戻されます。

この制度のおかげで、高額な医療費が発生しても家計への影響を抑えることができます。

年齢や所得による限度額の違い

自己負担限度額は、年齢や所得によって変わります。

簡単にまとめると次のようになります。

区分 自己負担限度額の目安
一般所得 約8万円前後
高所得者 約15万円以上
低所得者 数万円程度

正確な金額は健康保険の種類や所得によって変わります。

限度額適用認定証とは

限度額適用認定証を利用すると、最初から自己負担限度額までの支払いで済みます。

例えば、入院費が高額になるとわかっている場合、事前に申請しておくことで病院での支払いを抑えることができます。

これにより、一時的な負担を大きく減らすことができます。

入院などで高額な医療費が予想される場合は、事前に「限度額適用認定証」を
取得しておくと窓口での支払いを抑えることができます。
👉限度額適用認定証とは?申請方法と使い方

高額療養費の申請方法

高額療養費の申請は、加入している健康保険に行います。

多くの場合、医療費の支払いから数か月後に案内が届きます。申請書を提出すると、指定口座に払い戻されます。

健康保険によっては自動で払い戻される場合もあります。

医療費控除と高額療養費は併用できる?

医療費控除と高額療養費はよく混同されますが、実は併用することができます。ただし、計算の方法には注意点があります。ここでは併用の仕組みをわかりやすく解説します。

結論:併用は可能

結論から言うと、医療費控除と高額療養費は併用できます。

まず高額療養費制度で医療費の払い戻しを受け、その後に医療費控除を申請するという流れになります。

つまり、両方の制度を利用することで、医療費の負担をさらに軽くすることが可能です。

併用する場合の計算の考え方

医療費控除を計算するときは、高額療養費で戻ってきた金額を差し引く必要があります。

つまり、

支払った医療費
− 高額療養費で戻った金額
− 保険金など
− 10万円

という形で計算します。

この点を間違えると、申告内容が誤ってしまうので注意が必要です。

医療費控除の計算で注意するポイント

医療費控除では「実際に負担した医療費」が対象になります。

そのため、次のようなものは差し引く必要があります。

・高額療養費
・生命保険の給付金
・医療保険の給付金

これらを差し引いた後の金額が、医療費控除の対象になります。

よくある勘違い

よくある勘違いとして、「高額療養費を使うと医療費控除ができない」と思っている人がいます。

しかし、これは間違いです。高額療養費を利用しても、医療費控除は問題なく利用できます。

ただし、払い戻された金額を差し引く点だけ覚えておきましょう。

併用することで得られるメリット

併用することで、医療費の負担を大きく減らすことができます。

高額療養費 → 医療費そのものの負担を軽減
医療費控除 → 税金の負担を軽減

この2つの制度は役割が違うため、組み合わせることでより大きなメリットが生まれます。

医療費控除と高額療養費を上手に使うコツ

医療費の制度は知っているだけでも家計に大きなメリットがあります。ここでは、医療費控除と高額療養費を上手に活用するためのポイントを紹介します。

医療費の領収書は必ず保管する

医療費控除では、医療費の記録が必要になります。

現在は領収書の提出は不要ですが、税務署から求められる可能性があるため、5年間の保管が必要です。

領収書は月ごとにまとめておくと、確定申告のときに便利です。

家族分の医療費をまとめて管理する

医療費控除は家族分をまとめて申請できます。

そのため、家族それぞれで管理するよりも、1人がまとめて管理するほうが効率的です。

簡単な表や家計簿アプリを使うと管理しやすくなります。

確定申告の準備は早めに行う

確定申告の時期になると、医療費の集計で時間がかかることがあります。

日頃から医療費を記録しておくことで、申告作業がスムーズになります。

特に医療費が多かった年は早めの準備がおすすめです。

医療費通知を活用する

健康保険から送られてくる「医療費通知」も役立ちます。

医療費通知には、病院ごとの医療費が記録されています。確定申告の資料として利用できるため、医療費の集計が簡単になります。

制度を知っておくだけで大きな節約になる

医療費控除や高額療養費制度は、知らないと利用できません。

しかし、制度を理解しておけば、数万円〜数十万円の負担が軽くなることもあります。

医療費が高くなったときには、必ず制度を確認するようにしましょう。

まとめ

医療費控除と高額療養費は、どちらも医療費の負担を軽くするための制度ですが、仕組みは大きく異なります。

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に払い戻される制度です。一方、医療費控除は年間の医療費が一定額を超えた場合に、税金が軽減される制度です。

また、この2つの制度は併用することができます。ただし、医療費控除を計算するときは、高額療養費で払い戻された金額を差し引く必要があります。

医療費が高くなったときには、これらの制度を上手に活用することで、家計の負担を大きく減らすことができます。いざというときに困らないよう、制度の仕組みを理解しておくことが大切です。

医療費控除を利用する場合は、医療費の明細書を作成して
確定申告を行う必要があります。
書き方がわからない場合は、次の記事も参考にしてください。
👉医療費控除の明細書の書き方を詳しく解説
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