普段、スマホやパソコンで時刻を確認するとき、「1秒」の長さや時刻の調整について意識することはあまりないですよね。
ところが、世界の時間を管理する仕組みが大きく変わることになりました。
2026年10月15日、国際度量衡総会で、これまで使われてきた「うるう秒」を終了し、2027年5月20日から協定世界時(UTC)を連続的な時刻尺度にする方針が決定されました。
では、なぜうるう秒は廃止されるのでしょうか。
スマホや腕時計、パソコンの時刻にも影響するのでしょうか。
今回は、うるう秒の基本から廃止の理由、私たちの生活への影響まで、わかりやすく解説します。
うるう秒が2027年に廃止へ!何が変わるの?
2027年5月20日から新しい時刻管理の仕組みへ
2026年10月15日、フランスのヴェルサイユで開催された第28回国際度量衡総会(CGPM)で、世界の標準時に関する重要な方針が決まりました。
それは、2027年5月20日から、協定世界時(UTC)をうるう秒による不連続な調整を行わない時刻尺度にすることです。
これまでのように、必要に応じて時刻に1秒を追加したり、将来的に1秒を削除したりする方式を終えることになります。
うるう秒は、原子時計で測る時刻と地球の自転に基づく時刻のずれを調整するために使われてきました。
しかし、デジタル技術が発達した現在では、たった1秒の変更でもコンピューターシステムに影響を与える可能性があります。
今回の決定は、こうした問題を減らし、世界中のシステムで時刻を扱いやすくするための大きな転換点といえます。
そもそも「うるう秒」って何?
うるう秒とは、地球の自転に基づく時刻と、原子時計を基準にした時刻のずれを調整するために、標準時に1秒を追加する仕組みです。
私たちが普段使っている1秒は、原子の性質を利用した非常に正確な基準で定められています。
一方、地球の自転は常に一定の速さで回っているわけではありません。
地球内部の動きや大気、海洋など、さまざまな要因によって変化します。
そのため、原子時計が示す時刻と、太陽の動きなどに基づく時刻には少しずつずれが生じます。
この差が大きくなりすぎないように調整してきたのが、うるう秒です。
うるう秒の調整は1972年に始まり、最後に実施されたのは2016年末でした。
その後は追加されていませんが、制度自体は維持されてきました。
なぜうるう秒は廃止されるの?主な3つの理由
理由1:コンピューターやネットサービスへの影響を減らすため
うるう秒が廃止される大きな理由のひとつが、コンピューターシステムへの影響です。
現代のインターネットでは、サーバーやデータベース、通信機器などが時刻情報を使って動いています。
データを記録する際のタイムスタンプや、複数のシステム間で処理の順序を合わせるためにも、正確な時刻が欠かせません。
ところが、時刻に突然1秒を追加すると、システムによっては時刻を正しく処理できず、エラーや動作の不具合につながることがあります。
実際、2012年にうるう秒が追加された際には、一部のインターネットサービスなどで障害が発生したと報告されています。
時刻の変更に対するシステムの対応方法が統一されていないことも、運用上の課題でした。
うるう秒をなくせば、こうした不連続な調整への対応が不要になり、世界中のシステムで時刻を管理しやすくなると期待されています。
理由2:将来的に「マイナスのうるう秒」が必要になる可能性があるため
これまでのうるう秒は、時刻に1秒を追加する形で実施されてきました。
しかし、地球の自転速度は一定ではなく、短期的には速くなることもあります。
もし地球の自転に基づく時刻と原子時計の時刻のずれが反対方向に大きくなれば、理論上は1秒を差し引く「負のうるう秒」が必要になる可能性があります。
ただし、負のうるう秒はこれまで実施されたことがありません。
そのため、実際に導入する場合には、ソフトウェアや通信システムなどが正しく対応できるのかという課題があります。
今回の変更には、こうした将来的なリスクを避け、時刻管理をより安定させるという狙いもあります。
理由3:世界共通の時刻を安定して使うため
航空、金融、通信、衛星測位など、正確な時刻を必要とする分野は数多くあります。
国や企業ごとに異なる方法で時刻を調整すると、システム間で時刻に食い違いが生じるおそれがあります。
うるう秒による調整を終了することで、時刻の扱い方をより統一しやすくなり、システム同士の互換性を保ちやすくなると考えられています。
つまり、今回の変更は単に時計の仕組みを変えるだけではありません。
世界中のデジタルサービスを安定して運用するための見直しでもあるのです。
うるう秒の廃止でスマホや時計はどうなる?
スマホの時刻は基本的にそのまま使える
「うるう秒が廃止されたら、スマホの時計がずれてしまうのでは?」と心配する人もいるかもしれません。
しかし、今回の変更によって、一般のスマホの時計が突然ずれたり、ユーザーが自分で時刻を設定し直したりする必要が生じるわけではありません。
スマホの時刻は、通信ネットワークや時刻配信サービスなどを通じて調整されています。
今後も、基本的にはこれまでどおり自動設定を利用できます。
ただし、世界標準時の扱いが変わるため、時刻を配信する側や、それを利用する一部のシステムでは、必要に応じてソフトウェアや運用方法の見直しが行われる可能性があります。
腕時計や壁掛け時計への影響は?
一般的な腕時計や壁掛け時計についても、今回の決定を理由に買い替える必要はありません。
電池式の時計や機械式時計は、それぞれの仕組みに従って時刻を刻んでいます。
うるう秒の廃止は、こうした時計そのものの動作を直接変えるものではありません。
また、電波時計やインターネットにつながる時計についても、今回の変更だけを理由に、すべての機器が使えなくなるわけではありません。
一方、正確な時刻を配信するサービスや、標準時を参照する機器については、提供元から仕様変更などの案内が出る可能性があります。
気になる場合は、メーカーやサービス提供元の公式情報を確認しておくと安心です。
パソコンやネットサービスはどう変わる?
今回の変更で影響を受ける可能性があるのは、一般ユーザーの時計よりも、時刻を細かく管理するシステムです。
たとえば、サーバー、データベース、金融取引システム、通信設備、衛星測位関連のシステムなどでは、正確な時刻が重要になります。
これらのシステムでは、うるう秒に対応するための特別な処理や設定を見直す必要が出てくる可能性があります。
ただし、具体的な対応内容はシステムの仕様によって異なります。
今回の変更ですべてのサービスに障害が起こるという意味ではなく、むしろ時刻調整に伴うトラブルを減らすことが目的です。
「うるう時間」が導入されるって本当?
2027年に時計が1時間進むわけではない
うるう秒の廃止に関連して、「うるう時間」という言葉を見かけることがあります。
今回の国際的な決定では、地球の自転に基づく時刻と協定世界時(UTC)の差について、許容する上限を最大3,600秒、つまり1時間に広げることになりました。
これは、これまでのように1秒単位でずれを調整するのではなく、両者の差が長期的に広がることを認める仕組みです。
ただし、2027年5月20日に世界中の時計が1時間進んだり、1時間遅れたりするわけではありません。
また、その日に1時間をまとめて調整する予定があるという意味でもありません。
将来、地球の自転に基づく時刻とUTCの差が大きくなった場合に、どのような方法で対応するかという問題は、今後も検討が必要です。
時刻のずれはすぐに大きくなるの?
原子時計を基準にした時刻と、地球の自転に基づく時刻の差は、短期間で突然1時間になるものではありません。
地球の自転速度はさまざまな要因によって変化するため、将来どの程度の速さで差が広がるかを正確に予測することは簡単ではありません。
そのため、今回の決定を「2027年に1時間の調整が行われる」と解釈するのは誤りです。
重要なのは、時刻のずれを1秒ごとに調整する従来の方式から、より長い期間にわたって連続的に時刻を管理する方式へ移行することです。
うるう秒の廃止はいつから?今後のスケジュール
2027年5月20日が新しい時刻管理の開始日
今回の決定では、2027年5月20日から、うるう秒による不連続な調整を行わない協定世界時(UTC)の運用が始まることになりました。
なお、日本の標準時を管理する情報通信研究機構(NICT)は、2027年1月1日のうるう秒調整を実施しないと公表しています。
これは、2027年1月1日にうるう秒を追加しないという意味であり、同年5月の新しい運用開始とは区別して理解する必要があります。
今後は、時刻配信サービスや各種システムが新しい仕組みに適切に対応できるよう、関係機関や事業者による準備が重要になります。
今のうちに個人で準備しておくことはある?
一般の人が、今回の変更に向けて特別な準備をする必要は基本的にありません。
スマホやパソコンの時刻を自動設定にしておき、OSやアプリを最新の状態に保つことが、普段からできる対策です。
時計や機器のメーカーから案内が出た場合には、その内容に従いましょう。
一方、企業でサーバーや時刻同期システムを管理している場合は、使用しているソフトウェアや時刻配信サービスの対応状況を確認しておくことが大切です。
まとめ:うるう秒の廃止で私たちの生活はどう変わる?
2027年5月20日から、世界の標準時を管理する仕組みが変わり、うるう秒による不連続な時刻調整が終了します。
今回の変更の主な目的は、コンピューターや通信システムなどで発生する可能性がある時刻調整のトラブルを減らし、世界共通の時刻をより安定して運用することです。
スマホや腕時計、壁掛け時計が突然使えなくなったり、2027年に時計が一斉に1時間ずれたりするわけではありません。
一般のユーザーは、基本的にこれまでどおり時計を使い続けられます。
ただし、サーバーや通信設備など、正確な時刻を必要とするシステムでは対応が必要になる場合があります。今後の公式発表にも注目しておきましょう。
うるう秒の廃止は、普段は意識しない「時間」の仕組みが、現代のデジタル社会に合わせて変わる出来事です。
私たちの日常への影響は限定的と考えられますが、世界の時刻管理にとっては大きな節目となりそうです。
【出典】
- 国際度量衡総会(CGPM)決議:協定世界時の連続化に関する決定
- Euronews:2027年からのうるう秒廃止に関する報道(英語)
- 情報通信研究機構(NICT):うるう秒に関するQ&A・実施履歴
- 情報通信研究機構(NICT):2027年1月1日のうるう秒調整について
※本記事は2026年10月18日時点で確認できた情報をもとに作成しています。今後、関連機関から追加の発表や技術的な案内が出る可能性があります。

